『海を感じる時』から恋愛を考える

映画『海を感じる時』から恋愛とは何かを考察しました。男女間での恋愛観の違いや作品のシーンから学ぶ恋愛学などを紹介します。

作品から学ぶ恋愛観・恋愛心理

母と娘の間にある恋愛観の違いによる衝突

母親と娘の衝突
小説のあとがきに『海を感じる時』の内容は原作者である中沢けいの原体験が元になっていると書かれています。そのため、中沢けいの青春時代である1970年代の時代背景や価値観などが作品に強く反映されています。『海を感じる時』の作中では、恵美子と洋の関係を知った母と恵美子の間で、恋愛観への違いを元にした衝突が描写されています。

『海を感じる時』での母親と娘の衝突シーン

小説の設定によれば、恵美子の父親は恵美子が小学校5年生の時に他界しています。父親の死後は母子家庭として、母親は恵美子を厳格に育て上げてきました。その裏には母親の母子家庭だからという世間の眼に対する対抗心が垣間見れます。しかしある日、恵美子が洋に送った手紙に母親が盗み見たことで、恵美子と博士の関係を知り、恵美子と恋愛観の違いから衝突します。

今回は母親と恵美子の間にある恋愛観の違いを私なりに考察してみました。

母親と恵美子の間にある恋愛観の違い

世俗的なモラルを押し付ける母親

恵美子の母親の世代は、まだお見合い結婚が主流で「恋愛結婚は不良のすること」という風潮が根強く残っており、ましてや結婚を前提としない婚前交渉は強い非難の対象となる世代でした。
また恵美子の父親を早くに亡くし、また夫の親族から財産を取り上げられ見放された母親は、母子家庭であることで恵美子に不自由な経験をさせないように、女手1人で恵美子を育ててきました。
そういった背景から母親は恋愛に対しても世俗的なモラルを非常に大事に考えています。恵美子が正式な恋人でも無い洋に対して、自ら身体を差し出すことを理解することが出来ず、売春婦や春売などという言葉を使って強く非難をしました。

自由な生き方を模索する娘(恵美子)

一方の恵美子が青春時代を送った1970年代は、恋愛結婚への偏見が薄れ、恋愛結婚が一般的になった時期でした。結婚を前提としない恋愛を楽しむ意識が強まり、婚前交渉についても少しずつ開放されつつありました。また女性の女性の高学歴化や社会進出が進んだ時期でもありました。そういった変化が著しい社会背景の中で、恵美子は青春時代を過ごました。
また父親を早くに亡くし、母親に厳格に育てられたことで恵美子は、相手からの愛というものに飢えていました。そこで洋という相手と出会います。そして洋の心をこちらに向けるための手段として、身体を洋に差し出します。それで相手の心を得られるのであれば良いと考えていたわけです。恵美子は恋愛に関してそれまでの縛られた考え方ではなく、自由な生き方を模索していたと言えます。

まとめ:世代に寄る恋愛観の違いを知ることが出来る作品です

私は『海を感じる時』を通して、母親と恵美子の恋愛観の違いを世俗的なモラルを押し付ける母親と自由な生き方を模索する娘(恵美子)という切り口で考えてみました。今回は作品の時代背景である1970年の恋愛観や時代背景を絡めて考察してみました。

『海を感じる時』の映画版は市川由衣のヌードで話題を集めましたが、作品時代の評価は分かれている作品です。しかし原作の同名小説を読み、作品の時代背景を知った上で、映画を改めて観てみると新たな発見もあり、楽しむことが出来るのでおすすめです。

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